■幸福論

わたしは、子供を胸に抱く母親です。
一人の女だった独身の頃より、結婚してパートナーと歩き始めた頃より、今のわたしになってから、これまで以上に度々言われるようになった言葉があるんです。それは、・・・

「幸せそうだね」
「幸せなんだね」
「幸せそうに見える」

そうですか?たしかに幸せですけど(笑)・・・けど、そう言われてもなぁ・・・と、思わずいつも心の中で反芻してしまうのです。

あんまり言われ続けるうちに、ふと小学校か中学校の時にあった出来事を思い出してしまいました。

数少ないわたしの特技は、水泳です。水泳なら、“何なりと♪何でもこなすよー♪”という域。なので、学校内外の水泳競技会が近づくと、「バタフライやれる人が他にいないからやってね」「リレーのアンカーお願い」「個人メドレー出てくれない?」と、穴埋め方式にサクサク出場種目が決まっていっていたの。(当時はスイミングスクールに通ってる子自体がレアだったから)

そしたらですね。出番が終わって、プールサイドに上がってクラスのテントに戻ったら、数人の女子が、教師に向かってこう言ってたの。

「まちかちゃんは、ずるいです」
「試合なのに手を抜いてます」

抜いてないよー!(笑)

どうやら、悠々とスイスイ泳ぐ様子を見ていて、イライラしてしまったみたいで。「頑張ってないように見える」「泳げない人達をバカにしてる」と、感じてしまったというのです。救いだったのは、その教師が「違うのよ。彼女のような無駄のない泳ぎ方が、早いし疲れないんですよ。」と、わたしの気持ちも汲んで、やわらかくたしなめてくれていたことでしょうか。わたしが一言でも言い返すと収拾つかなくなってただろうしね。(感謝してます!だから15年経った今でも鮮明に覚えてるんです☆)

だからでしょうか?

「幸せそうだね」=「楽そうだね」
「幸せなんだね」=「悩みないんだね」
「幸せそうに見える」=「手を抜いてそうに見える」

・・・と、重なる声がどこからか響いてくる気がしてならないのです(苦笑)ダブルミーニングとでも言うのでしょうか、「幸せ」と持ち上げられながら本音では「あなたはずるい」と責められているような気分になってしまうのです。

幸せかどうかは本人しか分からないとか、本当の幸せってなんだろう、とかいう話をしたいのではありません。
“幸せそう”と憧れ羨む気持ちと、“手を抜いてるくせに”と妬み貶す気持ちとは、実はすごく近い感情なのではないかという話をしたいのです。

何であの人ばっかり得するの?
ほんと恵まれてるよね
苦労せずになんでも出来ていいね
運がいいんだよ、きっと

目の前の人が“幸せいっぱい”に見えてしまうのは、そう思うあなたが“幸せになりたい” “幸せを感じたい”と心の中で願っているから、ではないですか?今、自分の手の中にないものを持ってるから・・・。今、自分の心に余裕がないから・・・。目の前の人が、さもそれを持っているかのような錯覚に陥って、幸せ人間の虚像を作り上げてしまっているのではないですか?

そんな人間、いませんから。
幸せ“そう”な人なんて、どこにもいませんから。
いるとしたら、幸せになりたい人間の心の中だけの影のような存在なんです。
なのに。「見下されてる」と勘違いして、「幸せそう」とオブラートに包んだ嫉妬を投げかけるのは、得策ではないですね。

そんな時は、わたし達が図星を指されるとカッとなるのと同じようなことが起こってるんだなと、想像してみてください。他人をうらやましく感じた瞬間は・・・自分に足りないものを知ることが出来るチャンスだな、と。

わたしも試してみてるんですよ。

例えば大好きな街歩きも、羨ましさの裏返しかな、とか。
女の子達がイキイキとお仕事したりおしゃれしている雰囲気を感じてるとテンション上がってくる・・・のは、きっとそこから取り残されたくないからかな、なんて自分にツッコミ入れたりしてるとこです(苦笑)
「いいなー。楽しそう」と、思わず愚痴ってしまう前に、「どこが羨ましい?何が足りないの?自分の時間かな・・・?それじゃ、もっとちゃんと一日を大切に使わなくっちゃ!子育てしてるから自分の時間がないんじゃなくて、この子の生活のリズムを整えられたら、ちゃんと夜には自分の時間が持てるはずだよね。工夫してみよう!」・・・という風に(苦笑)

幸せな人といっても、全てを手に入れてる人というわけじゃない。
そういうふうに、見える、だけ。
ただ、自分に足りないものをたまたま手にしているだけ。

簡単に「幸せそう」と口にしないこと。
これがわたしの幸福論のプロローグです。

思わず口をついて出る、心からの「お幸せそうですね」という気持ちは、もちろん別物ですけどね☆


初出:2006/6/11 ブログパーツ

何か感じていただけたら・・・ 
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